Rag Time Betty - A Young Person's Guide to Ragtime
 
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国外で出版されたラグタイム関連書籍

A Life in Ragtime - A Biogrphy of James Reese Europe (1995)

著者 : Reid Badger
ISBN : 0-19-506044-X
発行 : Oxford University Press.

 20世紀の初頭に、バンドリーダー、作曲家、編曲家として活躍した James Reese Europe (1881-1919)の一生について書かれた本です。有名なクレフ・クラブ・オーケストラのこと、クレフ・クラブのリーダーを降りてテンポ・クラブを作った時のこと、第一次世界大戦が始まってから軍隊に入隊したときのこと、そして、1919年にバンドのメンバーに刺殺されたこと、などなど興味深い内容が事細かに記載されています。James Reese Europe のことを知りたい人は、必読の本といえます。

BLACK BOTTOM STOMP - Eight Masters of Ragtime and Early Jazz (2002)

著者 : David A. Jasen & Gene Jones
ISBN : 0-415-93641-1
価格 : $29.95
発行 : Routledge

 Jelly Roll Morton の本かと思われるかもしれませんが、そうではなく、8人の偉大なアメリカの音楽家たちについての本です。冒頭に、Tom Turpinとラグタイムの誕生についての導入部分があり、そこから、Scott Joplin、 Eubie Blake、Luckey Roberts、James P. Johnson、Willie The Lion Smith、Fats Waller、Jelly Roll Morton、Louis Armstrong の順で、物語が綴られています。ラグタイムと、初期のジャズにおける8人の偉人の話は、どれも非常に魅力的です。

COMBO: USA (1971)

著者 : Rudi Blesh
ISBN : 0-8019-5250-6
発行 : Chilton Book Company.

 COMBOとは、コンビネーションの略語です。楽器のコンビネーションによって生まれる音楽「ジャズ」について書かれています。8人のジャズ演奏家について、それぞれの物語が載っています。8つの物語のタイトルは、Little Louis、Creole Sidney、Big T、The Prez、Lady Day、Drummin' Man、Flying Home、Little Hubie、となっています、タイトルからどんな人物の話なのか想像がつく章もあると思います。ラグタイムの資料として特に注目すべきは、最期のLittle Hubieです。これは、もちろん Eubie Blakeについての物語です。

Dancing to a Black Man's Tune - A LIFE OF SCOTT JOPLIN (1994)

著者 : Susan Curits
発行 : University of Missouri Press

 ミズーリ大学から出版されている、ミズーリ・バイオグラフィ・シリーズの一冊です。Scott Joplinの幼年期〜青年期について、1893年に開催されたシカゴ・コロンビア博覧会について、Joplinとセダリア市の関係について、ラグタイムの楽譜出版によるビジネスについて、セントルイス時代について、Joplinの業績と文化的遺産についての章があり、それぞれの章が、綿密な調査に基づく論文となっています。音楽家 Scott Joplin の単なるバイオグラフィではなく、アフロ・アメリカンの文化についての記述も充実しており、勉強になります。

DEAD MAN BLUES - jelly roll morton way out west (2001)

著者 : Phil Pastras
ISBN : 0-520-21523-0
発行 : University of California Press.

 タイトルからもわかるように、Jelly Roll Morton のウェスト・コースト時代について書かれた本です。Jelly Roll Morton の本と言えば、有名な Alan Lomax の“Mister Jelly Roll”がありますが、最近出版されたこの本も一次資料として、とても価値があると思います。この本によって初めて明らかになった資料も含まれています。Jelly Roll Morton を研究する人は必読の書といえます。

IRVING BERLIN & RAGTIME AMERICA (1987)

著者 : Ian Whitcomb
ISBN : 0-87910-115-6
発行 : LIMELIGHT EDITIONS.

 イギリス生まれの音楽家・音楽研究家の Ian Whitcomb さんによる Irving Berlin とアメリカン・ミュージックについての本です。最初は、ヘヴィ・メタル・バンド Judas Priest の“EAT ME ALIVE”が出てきたりして、ちょっとビックリしますが、読み進めていくと Irving Berlin の話への布石だったことがわかります。才能豊かな音楽家でありながら、このような本を出してしまうほどの知識を持つ Ian Whitcomb さんとは、本当に凄い方です。

JELLY ROLL MORTON'S LAST NIGHT AT THE JUNGLE INN (1984)

著者 : Samuel Charters
ISBN : 0-7145-2897-8(Paperback)
発行 : Marion Boyars

 ジャズ・ブルース史研究家・翻訳家・小説家のSamuel ChartersさんによるJelly Roll Mortonを題材にしたフィクション小説です。完全なフィクションではなく、史実も織り交ぜながら話が作られています。

King of Ragtime: Scott Joplin and His Era (1994)

著者 : Edward A. Berlin
発行 : Oxford University Press, Inc.

 スコット・ジョプリンの人生を振り返って、その時代背景、記録、音楽内容など幅広い検討をしている労作。私はそれほど英語に堪能ではないのであまり読んではいない。しかし、ちりばめられた貴重な写真や資料を見るだけでも、十分価値はある。だいたい、幻のラグタイム・オペラ「A Guest of Honor」のツアー・スケジュールや、トゥリーモニシャの著作権申請書類(当然サイン付き)、さらにかなり多い未発表曲の情報まで出ているのだからすごい。ジョプリン愛好家にはたまらない本だと思う。誰か完訳してくれないかな?
(この紹介文は、浜田隆史さんよりお寄せ頂きました。情報の提供ありがとうございました)

MISTER JELLY ROLL - The Fortunes of Jelly Roll Morton, New Orleans Creole and "Inventor of Jazz" (1950,1973,2001)

著者 : Alan Lomax
ISBN : 0-520-22530-9
発行 : University of California Press.

 ジャズ史の文献として、第一級の名著です。著者のAlan Lomaxさんは、Jelly Roll Morton本人とインタビューしたこものある民族音楽学者です(彼は、2002年7月19日に他界しました)。彼が綿密に行った調査の結果が、この本には詰まっています。本文以外にも、13曲分のスコアや、レコーディングの情報、家系図、ディスコグラフィなど充実した付録がついています。1950年版、1973年版、1993年版の3つの版があり、それぞれ序文や、後書きが追加されています。

Rags and Ragtime: A MUSICAL HISTORY (1978)

著者 David A. Jasen & Trebor Jay Tichenor
ISBN : 0-486-25922-6
価格 : $12.95
発行 : Dover Publications,Inc.

 ラグタイムの歴史を解説した本です。年代順に並べられたラグタイムの作曲家や曲についての説明が、この本の主な内容です。説明に関連した写真や譜例もあります。年代順に9つの章があり、そのタイトルは、「1. RAGTIME AS A FORM AND A FAD」、 「2. EARLY RAGTIME」、 「THE JOPLIN TRADITION」、 「POPULAR RAGTIME: 1906-1912」、 「ADVANCED RAGTIME: 1913-1917」、 「NOVELTY RAGTIME: 1918-1928」、 「STRIDE RAGTIME」 、「JELLY ROLL MORTON」 、「THE RAGTIME REVIVAL: 1941-1978」となっています。ページ数の割に内容の濃い、良書です。入手もし易いですし、ちょっと調べるのに便利な本です。

Ragtime - A Musical and Cultural History (1980)

著者 : Edward A. Berlin
ISBN : 0-520-03671-9
発行 : University of California Press.

 ラグタイムについての音楽的・歴史的な研究書です。2002年に復刊されたペーパーバック版の表紙にも書いてありますが、「ラグタイム研究の新しいスタンダード」ともいえる内容を誇る本です。この本の登場により、1970年代以前の初期のラグタイム研究における常識を覆す新しいラグタイムの解釈が、世の中に広まりました(出版当初は批判もあったようです)。多くの譜例が載っているのが、この本の特徴で、楽譜と解説を読みながら、どのようにラグのスタイルが発展していったのかを知ることができる、貴重な本です。

RAGTIME: Its History, Composers, and Music (1985)

著者 : John Edward Hasse
発行 : The Macmillan Press, Ltd.

 様々な人の論文・回顧録・対談集などを John Edward Hasse がまとめた、ラグタイムの概説書。「The History of Ragtime」「Major Ragtime Figures」「The Music of Ragtime」の3章からなり、楽譜・アルバム・女性による全ラグタイム曲などの目録がつく。詳細なデータに基づく研究者の論文は必見。また、Gunther Schuller, Brun Campbell, Max Morath などの演奏家の寄稿もあり、ラグタイムを様々な角度から概観する事ができるのが、本書の素晴らしい所。特に、実際にラグタイム時代を生きたBrun Campbell の一代記は、読み物としても大変おもしろい。恐らくラグタイム全般の第一級資料だろう。
(この紹介文は、浜田隆史さんよりお寄せ頂きました。情報の提供ありがとうございました)

Recorded Ragtime 1897-1958 (1973)

著者 : David A. Jasen
ISBN : 0-208-01327-X
発行 : Archon Book by The Shoe String Press, Inc.

 主な内容は2つあり、1つは、膨大な量のディスコグラフィ、もう1つは、作曲者と曲のリストです。読む本では、なく調べるための本です。内容が古いので、あまり活用していませんが、適当にページを繰っていると、知らない演奏者の名前が多数出てきて、興味深いです。

Scott Joplin - A Guide to Research (1998)

著者 : Nancy R. Ping-Robbins
ISBN : 0-8240-8399-7
発行 : Garland Publishing, Inc.

 COMPOSER RESOURCE MANUALSシリーズの第47巻です。とても内容の濃い本で、Scott Joplinの年代記、曲名と関連情報のリスト、シートミュージックのリスト、参考図書一覧、シートミュージックを保管している場所のリスト、ディスコグラフィ、ゆかりの場所リスト、トゥリーモニシャの再演について、映像資料リスト、ラジオ番組、ラグタイム・パフォーマーと作曲者リスト、刊行物リスト、ラグタイム・クラブと協会のリスト、各地で行われているラグタイム・フェスティバルのリスト、等などのScott Joplin研究に役立ちそうな情報が集められています。非常にマニアックな本です。

SCOTT JOPLIN A LIFE IN RAGTIME (1995)

著者 : Steven Otfinoski
発行 : Franklin Watts

 バイオグラファー・詩人のSteven Otfinoski さんによるScott Joplinのバイオグラフィです。Joplin の波乱万丈な人生についてだけ書いてあるわけではなく、1960年代前半にMax Morath さんがTVショーでラグタイムを演奏して人気を集めていたことや、1970年代のラグタイム・リバイバルについても、折に触れ書かれています。写真も適度に挿入されています。

Scott Joplin and the Ragtime Era (1976)

著者 : Peter Gammond
ISBN : 0-312-70490-9
価格 : $3.95
発行 : Griffin Books

 Joshua Rifkin が発表したJoplinの作品集と、映画「Sting」で火がついた1970年代のラグタイム人気の中で出版された、ペーパーバックのラグタイム解説本です。故 Eubie Blakeが序文を書いています。今となっては、ラグタイムの研究書・資料としては情報が少々古いものとなってしまっていますが(特にJoplinの項)、曲の解説などや、写真、1970年代のことが書かれた個所などは読んでいて楽しめると思います。

SCOTT JOPLIN -COMPOSER-

著者 : Katherine Preston
発行 : CHELSEA HOUSE PUBLISHERS

 序文を故Martin Luther King 牧師のご夫人、Coretta Scott King さんが書いている、Black American of Achievementシリーズの1冊です。Black American of Achievementシリーズには、世界的に活躍したアフリカ系アメリカ人が多数取り上げられており、ミュージシャンでは、Joplin のほかに、Miles Davis や、Bob MarleyJimi Hendrix などの本が刊行されています。教科書っぽい体裁で、文章も読みやすく、図版も多いので、英語が苦手な私でも、結構読めました。

Scott Joplin the King of Ragtime - The King of Ragtime (Journey to Freedom) (2001)

著者 : C. Ogbu Sabir
ISBN : 1-56766-746-5
発行 : The Child's World, Inc.

 Scott Joplinを題材とした子供向けの絵本です。偉大なアフリカ系アメリカ人の業績を絵本で紹介するJourney to Freedomというシリーズもののようです。カラーの図版入りで、中学生でも読めそうなくらい文章も平易で、文字も大きく、ページ数も少ないため、英語の苦手な私にはピッタリの本でした(情けないですね・・・)。

Stride! - Fats, Jimmy, Lion, Lamb and All the Other Ticklers (1999)

著者 : John L. Fell & Terkild Vinding
ISBN : 0-8108-3563-0
発行 : The Scarecrow Press, Inc.

 タイトルから想像が付くと思いますが、Thomas “Fats” Waller、James P. Johnson、Willie “the Lion” Smith、Donald “the Lamb” Lambertなどのストライド・ピアノの名手についての本です。前半は、ストライド・ピアノが誕生するまでの話が綴られ、後半は、ピアニスト1人につき、1つのチャプターを割いての詳しい解説が綴られています。珍しい楽譜(著者の手書き)も掲載されています。ストライド・ピアノの好きな人にとっては、たまらない本なのではないでしょうか?

THAT AMERICAN RAG The Story of Ragtime from Coast to Coast (2000)

著者 : David A. Jasen & Gene Jones
ISBN : 0-02-864743-2
発行 : Schirmer Books

 アメリカにおけるラグタイム流行の文化的、社会的歴史を綴った歴史書です。章立ては、アメリカの地域別になっており、1.MISSOURI RAGTIME、2.RAGTIME IN MID-AMERICA、3.RAGTIME IN THE SOUTH、4.RAGTIME IN THE WEST、5.RAGTIME IN THE NORTHEAST、6.RAGTIME IN NEW YORK CITYの6つの章があります。巻末には、ラグタイム作曲家の生まれた土地の資料、どこの州で出版されたラグタイムなのか分かる資料、2002にも及ぶラグタイムのチェックリストがあります。充実した内容です。

THE ART OF RAGTIME - Form and Meaning of an Original Black American Art (1973)

著者 : William John Schafer
ISBN : 0-306-80057-8
発行 : Da Capo Press, Inc.

 ラグタイムの研究本です。なぜラグタイムを学ぶ必要があるのか?、から始まり、ラグタイムとは何か?、ラグタイムの与えた影響、クラシック・ラグ、ラグタイム・ソングとバンド、ラグタイムの演奏スタイルについて、などがまとめられています。付録には、楽譜の表紙絵と、Kullud Koons Kake Walkというバンジョー用ラグタイムの楽譜、Jelly Roll Morton版 Original Rags と Joplinのオリジナル版の楽譜、Cow Cow Davenportの Atlanta Rag、Cerey Morganの Trilby Rag、の楽譜、Treemonishaについての考察、参考文献一覧が掲載されています。

They All Played Ragtime (1950)

著者 : Rudi Blesh & Harriet Janis
価格 : $? ○
出版 : Alfred A. Knopf.

 1950年に出版されたラグタイムの解説書です。副題は、“THE TRUE STORY OF AN AMERICAN MUSIC” です。セダリアの話や、トム・ターピンのローズバッド酒場のこと、幻のオペラ「A Guest of Honor」や、大作「Treemonisha」について、ラグタイムと作曲家のリスト、レコードやピアノ・ロールのリストなどなど、盛り沢山の内容となっています。ラグタイム作曲家たちの写真や、「Maple Leaf Rag」、「The School of Ragtime」の楽譜も掲載されています(小さくて見難いですけど)・・・素晴らしい内容の本ですが、残念ながら、現在は絶版の本です。

◎ 3rd Editionと4th Editionについて
 OAK PUBLICATIONSから出版されている“THEY ALL PLAYED RAGTIME”の3rd Editionと4th Editionには、ラグタイムの楽譜が追加掲載されています。曲目は以下の通りです。

YESTERDAY

Pan-Am Rag, by Tom Turpin, arranged by Arthur Marshall
Calliope Rag, by James Scott
The Alaskan Rag, by Joseph F. Lamb
Pear Blossoms, by Scott Hayden
Missouri Romp - Slowdrag Two-Step, by Arthur Marshall
Century Prize - March and Two-Step by Arthur Marshall
Silver Rocket, by Arthur Marshall

TODAY

The Golden Hours (To the memory of Harriet Janis) by Max Morath
One for America, by Max Morath
Opera House Rag - A Sterling Selection, by Robert R. Darch
Business in Town, by Donald Ashwander
Friday Night, by Donald Ashwander
Gothenburg Rag, by Peter Lundberg
Brun Campbell Express, by Thomas W. Shea
Chestnut Valley Rag, by Trebor Jay Tichenor

THIS IS RAGTIME (1976)

著者 : Terry Waldo
序文 : Eubie Blake
ISBN : 0-306-80439-5
価格 : $12.95
発行 : Da Capo Press.

 Eubie Blakeの弟子として知られる著者によるラグタイムの解説本です。序文を師匠のEubie Blakeが書いています。前半は、ラグタイムの誕生と、ラグタイム時代について、クラシック・ラグ、ノベルティ・ラグなどについて書かれており、後半はラグタイム・リバイバルについて書かれています。後半のリバイバルについての記述は他の本にはない充実ぶりで、40年代、50年代、60年代、70年代と章が別になっています。楽譜も1曲だけ、Arthur A. Marshall の Little Jack's Rag が掲載されています。

TREEMONISHA (1995)

著者 : Angela Shelf Medearis
イラストレーション : Michael Bryant
ISBN : 0-8050-1748-8
価格 : $15.95
発行 : Henry Holt and Company, Inc.

 スコット・ジョプリンのオペラ「TREEMONISHA」を題材にした絵本です。絵本の内容はオペラと同じです。Michael Bryantさんによる水彩画が、トゥリーモニシャの物語の雰囲気にとてもよく合っていると思います。また、最後のページには、「TREEMONISHA」の解説があります。英語が苦手な私は、日本語訳版が出版されたらいいのになあ・・・、と思いますが、多分無理でしょうね・・・。

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